末永さんの謎めいた行動が日々エスカレートしてきた。彼は相変わらずロビーの床のタイルの線をなぞり続けているが、その範囲はどんどん広がり、昼過ぎから夜遅くまで活動は止まらない。まるで地下に隠された空洞を探知しようとしているかのようだ。何かを探している姿は、ツタンカーメンを発見した考古学者のようだ。
不思議なことに、そんな末永さんの行動をいつも注意深く見ていた慶子ちゃんも、静かに折り紙を折りながら何かを悟っているようだ。普段は騒々しい彼女も、この時ばかりは妙に落ち着いている。2人の間に、何か特別な空気が流れているのを感じる。距離が縮まってきているのだ。
彼らの行動はますます謎めいているが、もし2人が突然姿を消した時、私はこう伝えるだろう。「彼らは地下への階段を降りたんだ」と。